保険の設計 ~死亡保障~
ライフイベントと保険の見直し
ライフイベントには結婚・子育てといった望まれるイベントもあれば、死亡や入院等の望まれないイベントもあります。死亡や入院のリスクへの対策としてはまず保険が考えられます。
日本人は保険好きと言われていますが、保険はマイホームに次ぐ大きな買い物。
例えば家族で月額1万円の掛け金を30年間続ければ360万円にもなります。いかに賢く組みいれるか、しかもその内容をしっかり理解していないと本末転倒になってしまう恐れがあるのです。
ところで、家庭の収入の担い手に万一のことがあった場合、その後に家族が生活を継続していくためには、どの程度のお金が必要なのでしょう?「自分に万一のことがあった時には、どこからどのような給付がどれ位あるのか」を具体的にご存じの方は少ないといえます。
例えば公的年金からは、被保険者本人が老後にもらえるはずだった老齢年金が、遺族年金として残された遺族に支給されます。また会社員の場合は、会社の福利厚生制度からの給付も考えられます。
また、人生におけるリスクは死亡時だけとは限りません。病気やケガに備える医療保険など、今の自分にとってはどんな保障が必要なのか、加入している保険の保険料と保障内容がバランスよく準備されているかが大切なのです。
この機会に公的制度など各制度からの具体的な給付内容を確認し、現在加入中の保障肉容を見直してみましょう。
| <ライフイベントは一つじゃない> |
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現在の保障を見直そう
まずは現在加入中の保障内容について詳細を確認することから始めましょう。
現在の保障でまず確認したい点は次の通りです。
(1)主契約の保障期間はいつまでなのか
(2)保険料の払い込みはいつまでなのか
(3)どのような状態のときに、いくらの保険金・給付金が支払われるのか
特に加入している保険に終身保険がある場合、まずは契約した時期を確認しておきまし
ょう。一般的な終身保険の場合、加入時の予定利率によって保険料が決まっています。特
に高金利だった時代は予定利率も高いため、継続した方が有利なケースも見られるからで
す。
また新しい商品に見直す場合も、現在加入している保険の解約や減額を先に行うので
はなく、加入が決まってから今までのものを解約・減額するようにしてください。
必要保障額の考え方
保険の設計にあたり、まず考えなくてはいけないのは「どんなリスクに備える必要があるのか?」という「保険に加入する目的」です。このことにより、死亡保険が必要なのか、貯蓄タイプの保険が必要なのか、病気に備える保険が必要なのかという保険種類を決めることができます。
ここでは、死亡保障について考えてみましょう。
生命保険を大別すると終身保険と定期保険、そして養老保険に分類されます。
終身保険は一生涯保障するものですから、必ずいつかは保険金が支払われますが、その分保険料が高くなります。
一方、定期保険は基本的に保険料が掛け捨てとなりますが、少ない保険料で大きく備えておけるというメリットがあります。特に子どもの教育費や住宅ローン等の支出が重なる時期にはコスト面で助かる保険といえます。
この2つを組み合わせたものとして、終身保険に定期保険を特約として付加した定期保険特約付終身保険があります。
また養老保険はあらかじめ決められた期間内に死亡した場合は死亡保険金が支払われ、何も無かった場合は死亡保険と同額の満期保険金を受取ることができる、死亡保障と生存給付を合わせた保険です。貯蓄性が充実している分、保険料が一番高くなりやすい保険です。
| <死亡保障のいろいろ> |
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| <終身保険のいろいろ> |
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保険種類が決まれば、リスクが現実になった時にいくらあればカバーすることができるか?という保障金額を決めなければなりません。
仮に残された家族への保障という目的であれば、万一の場合にいくらのお金を準備しておけば家族が今の生活水準を維持しながら生活していけるのかを考えます。もちろん将来に対する予測ですから不確定な要素が多く、完璧な金額を出すことはできないものの、おおよその目安は算出できるはずです。
もし住宅ローンを返済中は、団体生命保険に加入しているかどうかは必ず確認しましょう。ほとんどのケースでは団体信用生命保険が付加されているため、残った住宅ローンは保険でカ
バーしてくれることになりますが、もし加入していない時は遺族が継続して返済することになります。
さらにここではもうひとつ確認しておきたい点があります。
万一の際に見込める収入、そして既に準備できている貯蓄です。万一の際に見込める収入の代表的なものが「遺族年金」でしょう。遺族年金は遺族と平均の給料、加入期間で異なりますが、下の早見表で概
算を掴んでおきましょう(平均の月収は、現在の月収の6割~7割程度を目安としてみましょう)。
会社員世帯の遺族年金の目安(年額) | 平均月収(単位/円) | |||||
300,000 | 350,000 | 400,000 | 450,000 | 500,000 | ||
残 さ れ た 家 族 | 子が1人いる妻 (遺族厚生年金と遺族基礎年金) | 1,534,100 | 1,619,800 | 1,705,500 | 1,791,200 | 1,876,900 |
| 子が2人いる妻 (遺族厚生年金と遺族基礎年金) | 1,762,000 | 1,847,700 | 1,933,400 | 2,019,100 | 2,104,800 | |
| 子がいない40歳以上の妻 (遺族厚生年金と中高齢寡婦加算) | 1,108,300 | 1,194,000 | 1,279,700 | 1,365,400 | 1,451,100 | |
| 子がいない30歳以上40歳未満の妻 (遺族厚生年金) | 514,100 | 599,800 | 685,500 | 771,200 | 856,900 | |
※公的年金制度では子どもを「子」と呼び、18歳の年度末までの子をいいます。
※子がいる妻は、末子が18歳到達後の年度末を迎えると子のない妻と同じ取扱になります。
ここまで見てきたように「万一の際に必要な金額」から「万一の際に見込める収入」と「既に準備できている資金」を差し引いたものが、「必要な保障額」ということになるわけです。
| <死亡時の必要保障額の考え方> |
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必要保障額は、個々のライフステージによって異なり、また時間の経過によっても変わっていきます。住宅ローンの減少やお子さまの進学、卒業そして自立などにより一般的には時の経過とともに必要保障額は減っていきます。
例えば、30歳代で亡くなってしまった場合と50歳代で亡くなってしまった時とでは「住宅」「子供の教育・結婚費用」を始めとして年齢に応じてその後の必要保障額は変化するわけです。
必要保障額の変化に対応した生命保険に、逓減定期保険とよばれる毎年所定の割合で保障額が減っていく定期保険があります。保障額が一定の定期保険に比べて保険料が安く、遺族の必要保障額も年齢と共に少なくなることを考慮すると合理的な商品といえます。
また万一の際に一時金ではなく毎回(毎年あるいは毎月)決められた額を遺族が受け取れる収入保障保険と呼ばれるタイプもあります。死亡時期から10年・15年と定められた期間だけ受取れるタイプと、定められた期限(年齢)に合わせて受取れるタイプに大別されますが、残存期間の減少に合わせて受け取れる年金総額が減っていくため、その仕組みは逓減定期保険と似ているといえます。
| <必要保障額の一例> |
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一方、保険金額の逓減や、定期保険等が保障の中心だった人が一定年齢に達することで死亡保障がほとんど終了してしまい、保障がなくなってしまうことに対して不安に思われるケースも多いのです。それなりの蓄えがあり、子どもも自立しているのであれば大きな保障を掛け捨て型の死亡保険で準備することはお薦めできません。
しかし、運用と保障を兼ね備えるために「一時払いの終身保険」を利用することは有効な手法といえます。保険料を一度にまとめて支払うことで一生涯の死亡保障を確保する保険ですが、最近では将来の解約時の払いもどし金を重視した商品も多く見受けられます。夫婦で加入して万一の場合は残った方が豊かな老後を過すために備え、ある程度夫婦ともに元気であれば解約して年金に上乗せしておこうというものです。
特に最近の円高傾向においては外貨建てタイプが注目を浴びていますのでチェックしておきましょう。
生命保険を使った死亡保障のポイントは、その人のリスクにあった適切な内容なのかにつきます。単に勧められたからという理由ではなく、加入する目的をもう一度確認しておきましょう。




