住宅ローンの見直し




住宅ローンを見直そう


住宅ローンの乗り換え、繰り上げ返済 長期間にわたる住宅ローンの返済中には、家族や仕事、収入の変化など当初住宅ローンを組む時とは状況が変わったり、想定できなかったことが起こりえます。

仮に収入が増えて、日々のお金に余裕ができた場合に、そのお金を運用するのか、将来の教育費や老後資金にあてるのか、住宅ローンの返済にあてるのか、どのように考えれば良いのでしょうか。
特に住宅ローンは人生において最大ともいえる借金をするわけですから、借りっぱなしにせず、経済又は家計の状況を踏まえながら、一人ひとりのライフプランニンクに応じて定期的に見直しすることが必要なのです。




繰り上げ返済


ここでは、まず繰り上げ返済について考えてみましよう。

繰り上げ返済とは、現在返済中のローンの元金部分の一部又は全部を返済することにより、返済期間の短縮や返済額の軽減をはかることです。繰り上げ返済した金額は、元金の返済に充てられますが、金利は元金に対してかかってくるため、元金を減らせば金利部分がそれだけ減るため、返済総額も少なくなります。

繰り上げ返済には期間短縮型と返済額軽減型がありますが、利息総額の軽減をはかりたい場合は、期間短縮型のほうが効果的といえます。特に今後の金利上昇に備えたい場合や退職後ローンによる負担を少なくしたい場合は、期間短縮型の繰上げ効果は高くなります。

仮に総額3,000万円を金利3.5%・返済期間35年でローンを組み、10年目で100万円を期間短縮型で繰り上げ返済するとします。

元金が100万円分減ることで、それに対応する返済期間が1年半短縮され金利分が約127.6万円軽減されることになります。早い時期に繰り上げ返済することで節約できる利息額が多くなり、また借入金利が高いほど節約できる利息も多くなるのです。頭金が少額でローンを借りた場合や退職時期を越えて返済するローンを組んだ場合などは、教育資金に必要な貯蓄などのバランスをみながら、繰り上げ返済すると効果的といえるでしょう。

<繰り上げ返済の例(期間短縮型)>
繰り上げ返済の例(期間短縮型)

しかし、ここで注意しておきたいのは、繰り上げ返済がどんな状況でも有利なのか、という点です。

仮に約130万円近く利息が軽減できるとしても、それは20年以上も経過したあと。その時に1年半早く住宅ローンが終了できるとしても、その間のインフレを考えると金額だけを単純に比較できないといえます。先行きが不透明な現在ですが、少しずつ食料品などの物価が上昇し、インフレーション(インフレ)の傾向を示しています。世の中がインフレの流れにあるときは、あわてて繰り上げ返済する必要はないと言えます。なぜなら、物価が上がるとお金の値打ちが相対的に下がり、借入金自身が自ずと目減りしていくからです。

余裕資金の100万円を目減りする借入金の返済にあてるのであれば、安全で利回りが期待できるもので利益を得たほうが賢明といえるでしょう。

<繰上げ返済VS運用>
繰上げ返済VS運用

繰り上げ返済は借りているお金を返しているだけなので、当然手元の資金は減ることになり、運用して戻ってくるわけではありません。この判断を誤ってしまうと、繰り上げ返済自体がリスクとなる可能性は否定できず、教育費などでまとまった資金が必要となる時期が明確な場合、検討が必要です。

最近は繰り上げ返済の手数料の無料化や、口座に一定額を残して余った分は自動的に繰り上げ返済に回せるなど手数料以外のサービスを充実させる動きが目立ちます。この点もチェックポイントです。

また家族との触れ合いを大切にしたい人は、現状のまま返済を続けて、その資金を旅行やリビング等のリフォームに当てても良いわけです。老後生活を充実させたい人は、年金にプラスできるように備えておこうと計画するのも良いでしょう。

大切なことは、繰り上げ返済や運用を含め、人生におけるお金の活用法を事前に考えておくということです。上手に繰り上げ返済を利用すれば、より多くのお金を老後の生活資金に回せることが可能なのです。




借り換え


金利が上昇傾向にある場合は借り換えも有効な手段です。

借り換えとは、現在の住宅ローンよりも低い金利のローンに借り換えることで、利息の軽減をはかるものです。では、借り換えるべきかどうかは何を基準に判断すれば良いのでしょうか。

<旧住宅金融公庫からの借り換え>
旧住宅金融公庫からの借り換え

借り換えの目安は「金利差1%以上・ローン残高1,000万円以上・残り返済期間10年以上」です。

原則として公的融資への借り換えはできないため、借り換え先は銀行などの民間金融機関等で行います。但し、民間金融機関への借り換えには担保評価の審査と団体信用生命保険の加入が条件となる場合が一般的です。別の金融機関で新たにローンを組むことになりますから、毎月の返済額や総返済額だけでなく、借り換える時の諸費用も含めトータルで比較しなければなりません。

特に金利だけで判断してしまうことは早計といえます。確かに金利が下がると、月々の返済額や返済総額は減りますが、前述のとおり借り換えには以前のローンの抵当権抹消費用、登録免許税や印紙税、司法書士手数料、事務手数料、ローン保証料、火災保険料などのさまざまな費用がかかります。合計すると相当な金顔になるうえ、手間隙もかかります。

多少の金利差で安易に借り換えると、かえって経費がかかる分損をしたということにもなりかねません。最近の金融機関は金利優遇や保証料無料など様々な特徴があるため、上記の条件にすべて該当しなくてもメリットが生じる場合もありますが、例えば保証料がいらないところは手数料が高めになっていることが多いのです。

<借り換えの注意点>
借り換えの注意点

借り換えは、金利上昇局面において一番リスクの少ない全期間固定金利で残りの返済期間で借り換えた場合に効果があるか、をまず検討してみましょう。その上で全期間を固定するのではなく、一定期間だけ金利を固定する固定期間選択型も検討してみましょう。このタイプは、将来の金利上昇リスクはあるものの、一般的に全期間固定よりも金利が低めに設定されています。

また、子どもの教育資金にめどが立って返済に余裕が出てきた場合などは、返済期間を短く組んだ場合も試算してみましょう。期間が短いと金利が低めに設定されることが多く、毎回の返済額が増額しても元本に充当される金額が増えるため、毎回繰り上げ返済していることと同様の効果になるのです。

<借り換えの事例>
借り換えの事例

現在のローンが返済期間の後半になっている場合も注意が必要です。元利均等返済ではローンの後半になると月々の返済額に占める元本の割合が増えてきます。従ってローンの残り期間や残高が少ない場合は、残った総返済額に占める利息の割合が減って借り換えによる金利負担の削減効果が薄れてしまいます。場合によっては借り換えによる総返済額の圧縮より諸費用のほうが高くつくことにもなりかねません。

借り換える目的を充分に検討した上で、納得して返済できるローンを探しましょう。




返済額アップに備えて家計をチェック


ローンを返済して、仮に金利が上昇して毎月の返済額がアップしても、住宅ローン以外の部分で見直しを行えば、家計全体として負担増をおさえることも可能といえます。

例えば生命保険を見直すことで、保険料を圧縮することも検討してみましょう。将来の必要保障額に合わせて減額していく「逓減定期保険」や年金形式で受け取れる「収入保障保険」を活用することで保険料をおさえるのも一法です。

また、会社の福利厚生制度を利用して、割安な会社の団体保険に加入することも方法でしょう。最近は生命保険商品の多様化が進み、健康体であることや非喫煙であれば割引となる保険もありますので、検討してみられたらいかがですか?

家庭によって適切な保障プランは異なるとは言うものの、これらの見直しをするかしないか、家計に与える影響は侮れません。金利の上昇に対して何もしなければ大きな負担となり、将来の老後資金にも影響します。
住宅ローンは自分のペースに合わせて返済できるかどうかが大切ですが、住宅ローンだけでなく家計全体での収支を確認することで、将来の選択肢が広がるといえるでしょう。