最近の相談では、大学進学にあたっての入学資金は親が準備し、授業料等は本人の奨学金で準備させたい、というケースが増えてきています。奨学金は子どもの成績や親の所得基準によって、月々一定額が貸与・給付される制度です。代表的な制度として日本学生支援機構の奨学金制度(貸与)がありますが、各自治体や民間企業、学校が独自に奨学金制度を設けている場合があります。
ところで、代表的な奨学金制度である日本学生支援機構において最近、滞納者が急増していることをご存知でしょうか。日本学生支援機構の奨学金は、親の所得条件や本人の成績等の
条件が厳しい第1 種(無利子)
と
条件が緩やかな第2 種(有利子、3%上限の変動金利)
がありますが、平成20 年度の無利子・有利子奨学金の要返還額合計は約3,600 億円に達し、要返還人員も258 万人の規模となっています。ところが平成19 年度末の返還状況をみると、延滞分を含む要返還額3,175 億円に対して2,515 億円が返還され、未返還額は660億円と20%を超えています。
また、貸し倒れの可能性がある3カ月以上の延滞債権額は645億円、返済期日がまだ来ていない返還額を含めると債権総額は2,253 億円にもなります。
昨年末には、3 ヶ月以上の滞納者の情報を信用情報機関に通報する制度を平成22 年度から始めると正式発表、請求書に同意書を同封するほか、各校を通し学生にも通知を始めるなど、適用を厳しくしています。また返済が滞っている卒業生が多い学校についても、学校全体の「延滞率」が平均の2倍を超えた場合に学校名を公表する方針で、早ければ2011年度末から公表を始めるという姿勢を打ち出しています。
奨学金制度の趣旨からすると残念な状況ですが、滞納情報が登録されることの意味を学生が実感できるのかは大いに疑問です。通報先となる信用情報機関は大手銀行や全国の地銀など約1400 の金融機関が会員となっていて、3 カ月以上滞納すると今後クレジットカードやローンの申し込みが極めて困難になってしまいます。
現在は奨学金以外にも学費の一部減額制度など、学費負担をおさえる制度やサービスが多様化しています。進学時期は住宅ローンと教育費が重複することが多く、家計が一時期厳しい状況になる時でもあります。
お子さまの志望校選びと合わせ、さまざまな学校の学費支援の制度を検討するなどの上手な資金調達手法を確認しておきましょう。更には子どもの成長過程で親子がよく話し合い、親が子どもに対して「何を」育てたい時期かをあらためて考えることも大切ではないでしょうか。